タシデレ

新刊の紹介をさせて下さい。「癒し塗り絵美しい密教の仏とマンダラというタイトルで、チベットの伝統的なタンカとマンダラを通じて塗り絵を楽しむ為の本となっております。ロブサン・シャンパがタンカを6点ほど担当しております。

編集者のご友人を通じてお話を頂いた当初、最近本は専らネットで購入し、本屋にも足を運ばなくなっていて世情に疎い私は大人の塗り絵が流行っているなどとはまるで知らず、「誰が塗り絵なんて買うんですか〜?」と開口一番に聞いてしまいました。後で調べたところ浮世絵、西洋の著名な画家、ヨーロッパのステンドグラスをモチーフにしたものなど様々な種類の大人向けの塗り絵があると知り、それが結構流行っていると知り驚いた次第です。

夫シャンパは私よりもっと世情に疎い為、タンカとマンダラの塗り絵と聞いてもピンときませんでした。思い浮かぶのはコミックブックみたいなものだったようで、そんなのだったら絶対駄目と言ってました。加えて、時としてチベット文化圏外で(たまにチベット文化圏でも)見られるタンカやマンダラと名を打ちながら、チベット人から見ると「全然違う」というものになっているマンダラやタンカもあるので、その点も多少懸念したようです。海外ではこういうのが出てるよと参考に見せた塗り絵の本がチベット人の彼から見ると「???」というものだったりしたので、「こういうのだったら僕はいくら積まれても受けません。」などと申しておりました。「誰もあなたにお金を積まないから安心して」と心の中で思いながら、私もどんなものになるのかと多少危惧致しました。正式に出版社の方から連絡を頂き、詳細を聞いてとっても安心。本の監修と解説はあの石濱裕美子先生、担当の編集者はその教え子のOさん、砂曼荼羅製作は今度ダライラマ法王を広島に招聘される文殊師利大乗仏教会だし、デザイン担当のKさんもチベット社会に精通していて、すごく頼もしい顔ぶれ。一番心配なのは我が夫君ではないのとか思いました。一応締め切りみたいのもあるし、あまりそういうのを気にしないチベット人にできるのか〜と大変心配しました。「日本人は締め切りとかあると徹夜したりするんだよー」とそれとなく脅してみたりもしましたが、あまり動じる風もなく、「タンカはそういうものではない。」とあっさり片付けられてしまいました。確かにそう言われればそうだけど。また本のテーマであるタンカとマンダラを塗って心を癒すというコンセプト理解できるのかしらと一抹の不安も。この点に関してはどこまで理解しているか今もってわかりませんが、正しくチベット仏画を伝えることができ、それを見たり、彩色して、心穏やかに保つことができるという方が少なからずいらっしゃるなら、彼にとっても嬉しいことなのではないかと思います。

そしてようやく完成した「癒しの塗り絵」はとっても素敵なものとなりました。ダラムサラの夫のお師匠さんが見ても「わが弟子は日本に行って魂を売ってしまったか」と思わないような、伝統に沿ったタンカとマンダラの本となりました。完成した本を見た夫も、満足そうで「綺麗」と言っておりました。夫は伝統に厳しいお師匠さんに鍛えられ、またチベット人絵師としての誇りがあるので、伝統に沿っていないもの、つまり経典に載っていないような形でのタンカ製作はできません。当初多少の懸念があった夫も今回の本は安心できるもの、お師匠さんや大げさですが、万が一ダライラマ法王の目に留まっても、上手い下手はさておき、正確な点に置いては恥ずかしくないものになったのではないかと思います。

そしてただの塗り絵ではなく、それぞれの仏の解説を石濱先生がされているので、読み物としても満足できると思います。

ご興味のある方は是非ご覧頂ければと存じます。
発売は今月末 950円で、A4版、56Pで、扶桑社より出版されます。